ロシア上空☆ | 月刊ビオラ~Shimpei特集記事~

ロシア上空☆

港を発ってから8時間後ぐらいのことだろうか。すでに機内の灯りは消え、乗客はみな寝静まっている。ふと眼が覚め、窓に目を遣る。眼下には、地平線へ延びる雲とロシア永久凍土の暗闇。黒色の超巨大空間に思わず圧倒される。きっと何百キロも広がっているであろう暗闇の大自然が、肌に伝わる。その真っ黒の大地とは対照的にまたたく、満点の星空。機体と同じ高度で、輝きを主張する月。そのキラメキを遮るものはなし。今この空に自分が在る神秘。この静寂を、静観。命を鼓動させているのは、不思議と、自分と星と月だけな気がしてくる。大空と大地を、ひとり占め。