日本よグットラック☆ | 月刊ビオラ~Shimpei特集記事~

日本よグットラック☆

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成田午前11時。

 が友Sと別れ、ついにここ自由が丘から、単独の旅が始まる。京成線特急で成田まで。特急とは名ばかりで、たくさんの小さな駅に停まる。都心から離れ、広大な田畑が。ほんとにこんな田舎に世界の玄関があるのかと疑問に思ったほどだ。降りる駅は行けばすぐにわかるだろうと甘く見ていたが、成田駅、成田空港ターミナル第二ビル駅、成田空港駅があり戸惑う。列車は田畑からビル街へ、そして地下へと潜った。

 を頼りに無事、出国ロビーに着いたはいいが、さて、どういう手順で出国手続きをしていいのかわからず迷う。まずは何をするんだっけ。ウォークラリーのように次はどこですかとゲーム感覚で、とはいかず、そうやって楽しむ余裕はあまりなく、やっとの思いで搭乗口に到着。というか流されて到着。ひとりは、やっぱり心細い。それを覚悟の上、と頭で言い聞かせても、体が着いていかない。空港でのひとりぼっちのさみしさよりも、これからひとりで日本を離れるさみしさがじわじわと伝わってきたようだ。これから何が起こるかわからない不安。ひとつひとつゲートをくぐるごとに無防備になりそうな恐怖。守られた世界から未知の世界へのゲート。

 続きがすべて終了した搭乗20分前に、京都の友達に電話する。不安でだろうか。何を話せばいいかわからなくなり、少し沈黙をさせてしまった。そんなとき、パイロットに手を振ってみてください、と話してくれた。返してくれますから、と。それは小さい頃の話で、今の俺がやったら、何かの予告とも取られかねないよと笑いあった。俺の声は、自分でもどうしようもなく細く途切れがちだったが、それをやすらぎが包んでくれた。

 本への望郷を背に機内に搭乗。飛行機の羽が思いのほか薄い薄い。機体の大きさと比べても不恰好。風で折れてしまいそう。本家である鳥の羽はあんなに頼もしいのに。こんな重たい機体が正確にユーラシア大陸を飛んじゃうなんて。でもみんな平然。当たり前そうに毛布をかぶったりしている。だからひとりで、浮けっ、がんばれっ、浮けぇ、と応援。重たいお尻がズッシリと地上を離れる。雲を超えたときは心で拍手。この翼に、俺の命と未来を預けているんだもの。よし、俺も、がんばるぞ。

時刻表?

飛行機